初めての討論

2008 年 12 月 19 日 - 11:03 PM by ICHII

今日は12月議会閉会日。
本会議が開かれ、今議会に提出された議案や陳情・請願などの採決が行われます。

その中で、各会派の意見を表明する「討論」の機会があります。
私は、今回初めて討論に立ちました。

10分しか時間が与えられないので、たくさんの議案や陳情・請願がある中で、特に意見を述べたいものを選ぶ必要があります。
今回は、子どもたちの教育に関するもの(請願3件)、障害を持つ方へのサポートに関するもの(陳情1件)、そして議員報酬の削減と本会議や委員会に出席する際の交通費などの見直しに関するもの(条例案4件と陳情1件)について討論することにしました。

最初の2つを取り上げたのは、財政構造改革が現在の最大の課題である中で、教育や福祉はやはり政治や行政が担うべき仕事の根幹であり、ゆるがせにするべきではないと考えたからです。
3つめについては、昨日も書いたように、各会派の意見が分かれているので、しっかり議論を闘わせなければ!という思いからです。

昨夜、原稿を書きながら、討論は質問とは違うなぁ・・、議会にとって大切なものだなぁ・・と強く感じました。
質問は、知事をはじめとする執行部に向かって行います。
知事の「提案権」に対して、「決定権」を持つ議会が、どう決定するかを考えるために質問したり、その決定に従って施策を行う知事の「執行権」に対して、「監視機能」を発揮するために、どうなっているのか質問したり、ということです。

討論は、それとは違って、議会の内部で(=他の会派や議員に向かって)行うものです。
地方自治体は知事と議会の二元代表制だと言われますが、まさに、その一方である議会としての意思を決定するための議論なのです。

これまで質問のために登壇する度に、「なんで議員と向かい合う位置に壇があるんだろう?」と不思議に思っていました。
知事や執行部の皆さんは壇の両側に座っているので、横を向いて質問を投げかけるのは変な感じでした。
でも!今日、討論のために登壇してみたら、まさに正面に座っている議員の皆さんに向かって呼びかけ、主張し、説得するわけで、これが本来の位置かも・・、と納得しました。

それぞれのテーマについて、自らの意見を訴え、議員の皆さんの賛同を心を込めて求める。それを聞いて、各議員が議案などへの自らの態度を決める、というのは、言論による民主主義の原点です。
残念ながら、現在、討論は質問に比べて軽視されているし、その役割を果たしているとは言えません。
これも今後の議会の課題だと実感しました。

対案を出すということ

2008 年 12 月 18 日 - 11:38 PM by ICHII

今議会では、議員報酬の削減と、本会議や委員会に出席する際の交通費などをどうするか、が問題になっています。

これまでの議論の中で、いずれも自民党案とは考え方が異なることが明らかなので、明日の本会議に、わが会派としての条例案を提出することになりました。

会派の会議の中で「自民党案に反対するだけではなく、私たちの案を示して、真正面から、県民の皆さんにどちらがいいか見てもらいましょうよ!」と提案したところ、皆さんから賛成をいただき、その代り「言いだしっぺが作れよー」ということで、条例案を作るという初めての体験。

ちょっとドキドキしましたが、条例案作りは、議会事務局にサポートしていただいたので、意外と簡単にできました。

やってみて、改めて「対案を出す」ことの意義を感じました!

何といっても、問題点・論点が明らかになります。
例えば、自民党案では、議員報酬は10%カットで、期末手当(ボーナス)はカットなし、毎年度ごとの改正です。
これに反対するだけでは、じゃあ、もっと低いカット率がいいと思っているのか、もっとカットすべきだと思っているのか、期間はどうするのか、などなど、自分たちの考えは見えません。
そこで、民主・県民クラブ案として、議員報酬は15%カットで、もちろんボーナスも同じだけカットするし、任期満了までカットを続ける、と示せば、違いが明らかになります。

15%というのは、部長以下の一般職員と、知事など常勤特別職の間に位置する削減率で、これは位置としては現在と同じです。
知事からいわゆるヒラの職員まで、職責に応じて段階的な削減率になっていることを考慮しています。
自民党案だと、部長級と同じカット率だし、職員はボーナスも同率カットするので、ボーナスも合わせた年間報酬で比べれば、削減率が一般職の平均削減率を下回ってしまいます。しかも、今の議員の任期は4月29日までなので、最後の1か月はカットなしです。
もちろん、年間削減効果額も大きく、自民党案では約5700万円ですが、私たちの案では約1億2000万円で、倍以上です!
皆さんは、どちらを選ばれますか?

また、各会派の考えも明らかになります。
自民党案だけだと、他の3会派がそれに反対するだけで、それぞれの考え方は分かりません。
民主・県民クラブの案も出すことで、共産党は私たちと同じ意見だ(私たちの案に賛成)、とか、公明党は報酬削減についてはどちらとも違う(どちらにも反対)、といったことが本会議の場できちんと示されます。
報道もされるので、県民の皆さんにも、どの会派がどういう考えなのか、よくわかると思います。

やってみて本当によかったです!
これが本来の議会のあり方じゃないかなー。
これまでは対案が提出されることはほとんどなかったそうですが、今後はできるだけ出していきたいと思います!

昨日の総務委員会のつづき。

2008 年 12 月 17 日 - 11:33 PM by ICHII

昨日の総務委員会のつづき。
消防防災ヘリコプターの納期遅延に関してです。

問題の焦点は、県が遅延金の請求をするのかどうか。
先方は、県が請求すれば応じる意向を明らかにしているし、知事も基本的には請求するべきとの認識を示しているのに、なんでまだ「専門家に相談して判断します」とか言ってるんだ!という質問が、さまざまな角度から続きました。
最近3年間にヘリコプターを導入した8県のうち、2県で納期の遅れがあり、いずれも遅延金を請求しなかったそうなので、私がその理由を質問したところ、「県側に事情があった」とのこと。岡山県にも、請求できない事情があるのでしょうか・・。

個人的には、総務部長の答弁の中の「財政的な事情でこれまでやらずにきたことから、知事のレベルで重点事業として取り組むべきかどうかの判断が必要と考えた」という部分にも引っかかっています。
消防防災ヘリコプターの必要性は、ずっと変わっていません。総務部長が例として挙げられた地震の急迫度も他県のヘリコプターへの依存も、この1年で急に起きたわけではありません。
「財政的な事情」こそが、今年の重要課題だったわけで、しかもそれを緊急に提起した財政部門の責任者は総務部長のはずです。

同じ問題だと思うのが、その他の項で出された職員住宅の建て替えと県庁舎耐震化の中止。
5月29日に財政の長期見通しを発表し、6月2日に財政危機宣言をしたのに、それぞれ5月22日と29日に落札しているのです。
その後契約をせず、工事を中止したため、準備を進めていた落札業者から経費の補償を求められています。
経費補償だけなのか尋ねたところ、「損害賠償も含めて検討している」との答弁。
財政構造改革に取り組もうとしながら、大きな工事の進行をそのままにしていたのもおかしいし、賠償しなければならない損害が発生するような進め方だったのか、経過を明らかにする必要があると思います。

総務委員会

2008 年 12 月 16 日 - 11:45 PM by ICHII

今日は総務委員会。

まず、今議会に出された議案や陳情・請願の内、総務委員会に付託されたものについて、議論と採決が行われました。
「岡山県行財政構造改革大綱2008」については、自民党の戸室委員から、「自民党県議団総会で、道州制部分の削除を知事に申し入れることになっていたが、その答えを教えてほしい」と質問があり、「何も聞いていない」という部長答弁を受けて、「では、採決しないで保留してほしい」との申し出がありました。
自民党の他の委員からの異論もありましたが、委員長が、保留するかどうかを諮って採決しようとされたので、「理由がおかしい!」「自民党内部の問題を委員会に持ち込むな!」などの声が続出。
委員長も保留するかどうかの採決をやめようとされたものの、委員の権利を侵害することはできないので、結局、採決することになりました。
結果として、保留しないことになり、続いて大綱についての採決が行われました。
大綱に反対したのは、自民党2名と共産党の委員。大綱は、賛成多数で可決されました。

会派制と事前協議制が徹底している岡山県議会では、こういう事態はとても珍しいことです。
議員の自由な議論に基づいた議会の活性化につながるのか、単なる混乱に終わるのか。
金曜日の本会議での採決まで、注目したいところです。

消防防災ヘリコプターの納期遅延に関しても報告があり、議論が沸騰しました。
長くなるので、詳しくは明日書きます。

最後の決算特別委員会

2008 年 12 月 15 日 - 11:15 PM by ICHII

今日は最後の決算特別委員会。
19年度決算は今12月議会で認定されるので、これまでは他の特別委員会が開かれない日にも部局の審査を行ったりして進めてきましたが、今日で終わり、今後は開かれません。

今議会の最終日に委員長が審査の内容などについて本会議で報告する文案を検討しました。
これまでの議論を踏まえたものなので、特に異論はなかったのですが、少し気になったのが、いわゆる「不正経理」問題について触れた部分の「本県においては適正に使用されているとは思いますが」のくだり。
既に報告されている12道府県の例を見る限り、岡山県でもありうるのではないかと思い、問題提起したところ、賛同が多く、削除することになりました。

財政危機宣言の前年の決算をこのまま認定することについての議論もありました。

今年は初めて決算委員会に所属しましたが、そのあり方やどうすれば十分に機能するのか、わかりやすい情報提供や出納局の充実強化など、課題はたくさんあると感じました。
具体的な提案ができるように考えていきます。

加藤周一

2008 年 12 月 14 日 - 11:34 PM by ICHII

12月5日に加藤周一さんが亡くなりました。
ああ、ついに!という思いで訃報を聞きました。

知識人と呼ぶべき人であり、失われたものの大きさは何によっても埋められないほどだと思います。

その加藤周一さんのラストメッセージを伝えた番組 ETV特集「加藤周一 1968年を語るー”言葉と戦車”ふたたびー」を見ました。

1968年のパリ五月革命、プラハの春、シカゴ事件、そして東大安田講堂事件を頂点とする日本の学生運動の映像と、それらを通して暴力・権力と言論について考えた著作「言葉と戦車」の引用、この夏に病をおして応じたインタビューによって構成されていました。

加藤さんの話は、秋葉原無差別殺人に象徴される現代の閉塞やその暴発におよびました。
著作によって深い思想を広めるという知識人の責務について語り、最後に述べたのは「何が敵なのかをよく知らなければならない。」

私たちは、人間の知性によって、社会の問題や暴力の問題に向かっていかなければならないのだ、と考えを重ねる90分でした。

児島湖

2008 年 11 月 19 日 - 11:33 PM by ICHII

昨日の午後は、「児島湖をきれいにする議員懇談会」の児島湖現地調査でした。

新岡山港から船に乗って、締切堤防から児島湖に入り、児島湖内の様子や浮き魚礁などを見学しました。

面白かったのは、児島湾と児島湖を移動するために、締切堤防の「閘門」を利用したこと。
水門の一方を上げて中に入り、その水門を下ろしてから水位を変え、移動先の水位に合わせたら水門を上げて出て行きます。

↓ 開門!

水質保全を担当している環境管理課、児島湖流域下水道を所管する下水道課、水産課や耕地課からも同行があり、現地でいろいろと説明を聞くことができました。
寒かったけど、児島湖を中から見ることができ、貴重な経験でした。

総務委員会

2008 年 11 月 18 日 - 11:45 PM by ICHII

今日は総務委員会。

財政構造改革プランが発表され、それを基にした行革大綱案も示されたので、議論はそこに集中しました。

中でも大きく肯かされたのは、冒頭の武田委員の発言。
世界的な金融危機や景気後退が起きてきた中で、県財政がどういう役割を果たすべきか、という議論がなされないまま、財政構造改革プランが作成されたのは問題があるのではないか、
という問題提起に始まり、哲学的な議論なしの行財政改革でいいのか、と訴えられました。同感。

私からは、
短期間にこれだけのプランをまとめあげられたWG、PTをはじめとする職員の皆さんの努力に敬意を表した上で、
1)行革大綱は理念をもって行財政改革全体について示すべきものだが、財政構造改革プランとほとんど同じものであり、残念。
・行革大綱と財政構造改革プランの関係は?
   →プランが大綱に向かうプログラム。
・これまでの行革大綱のように外部委員やパブリックコメントで意見を聞くことはしないのか?
   →しない。やむをえないと考えている。
2)プランや大綱を今後、どのように進め、状況に合わせて見直していくかが大事。
・財政状況の公表(ローリング)は?
   →従来通り2月と8月に行う。
・進捗状況の公表は?大綱とプランの関係は?
   →プランは大綱の中に入っているので、大綱の進捗状況として年1回示したい。具体的方法は検討。
3)緊急災害対応を考えた財政調整基金も大事だが、特定目的基金からの繰り入れの返済も大事。貯金と返済、どういう考え方か?
   →厳しい財政状況だが、できるだけ財政調整基金を積みたい。適正規模については他団体との比較などにより検討。
という質問をしました。

最後に、武田発言に賛意を表し、
ピンチをチャンスとすべく基本に立ち返って考えるべきだったのに足りなかったところは議会も反省すべきだし、
これから改革に具体的に取り組む中で、テーマごとにも理念や県の使命などを考える必要があるわけで、そういった場で深めていくスタートにしたい、
と意見を述べました。
本当に、そうしていくつもりです。

税金は公平に

2008 年 11 月 17 日 - 11:38 PM by ICHII

14日のこのブログで、また書きます、とお伝えしていた、当日の総務委員会のその他のところで質問した内容についてです。

去る8月29日、住民監査請求がありました。
内容は、
ある会社が不動産取得税の延滞金を滞納していたところ、別の不動産取得税について還付金が生じたので、県は、その還付金を延滞金に充てた。
ところが、会社が「払わなくていいと言われた!」「言った職員を訴える!」などと苦情を申し立てたので、調査し、その後、延滞金の免除を決めて、延滞金と相殺していた還付金を返した。
こんな免除はおかしいから、県はもう一度延滞金を徴収すべき!
というものです。

これに対して、10月27日、県監査委員が、
免除の決定も還付金の返還も、いずれも違法または不当なものなので、会社からきちんと返してもらいなさい。
と、県に勧告しました。
県がどう対処したかを、12月26日までに回答するよう求めています。

監査委員の勧告はもっともなものですが(細かく言うと踏み込んだ内容なのですが、長くなるので詳細は省略)、
県民の皆さんから見れば、税の公平性に対する信頼を揺るがす出来事だし、
まじめに仕事している職員の皆さんにとっても、恣意的な運用は許せないことだろうし、
議会の場でも質しておきたい、と思い、
原因は?
他にはこのようなことはないのか?
再発防止に向けてどのように取り組むのか?
といった質問をしました。

また、この件のように、仕事でしていることについて、職員個人が訴えられるようなことがあっては大変です。
法律の問題ではありますが、現実に、保険とか、県として職員を守る体制はないのか、も尋ねました。
保険は、住民訴訟についてしかないそうで、今後、対応の検討が必要、という前向きな答弁でした。

事件については、
法の曲解は許されない。他にはないと信じるが、もしあった場合には、厳しく指導していく。
という答弁がありました。
しっかり取り組んでいただきたいと思います。

県で働く人たちの思い

2008 年 11 月 16 日 - 4:36 AM by ICHII

財政構造改革プラン(素案)では、教職員の給与を9.5%カットすることによって、人件費を140億円削減する案が示されていました。

その他、手当等も含めてどうするのか、11月に入ってから、県庁や企業局、学校で働く教職員の労組との交渉が続いていました。
今日(正確には昨日から)はその最終日でした。

昨日の午後には5000人を超える大きな集会をして、15時半から再開された交渉には、知事が臨まれました。
それから12時間。先ほど、今朝の3時半に妥結するまで、私も交渉会場の近くで、ずっと見守りました。

職員の給与は条例で決まっています。つまり、議会が決めるのです。
県財政が厳しいとはいえ、9.5%カットというのは、簡単なことではありません。
重い問題なので、職員の皆さんの思いや、それに知事がどのように対されるのかを、自分の目で見て、自分自身の態度を決めたいと思いました。

最終的には、知事は、まず自分は30%カットする(副知事は20%、教育長と公営企業局管理者は18%)ことを示した上で、管理職は10%、一般の職員は7%と回答され、それが受け入れられました。

交渉の中で、勤務先の厳しい現状を伝えて「知事、私たちの仕事ぶりは、全国一低い給与にしか値しないのですか?」と訴えられたのには胸を突かれました。
財政が厳しいのだから、給与カットを受け入れなければならない、という気持ちはあるが、納得できるように説明してほしい、という意見もうなずけるものでした。

知事というのは、県の経営者であり、職員のトップでもある。
リーダーとして、職員と向き合わなければならないのだな・・と痛感しました。

交渉が終わってから、委員長が「給料がカットされても、仕事の質は絶対に落とさない。県民や子どもたちのために一生懸命に働く。それが私たちの県職員としての誇りであることを確認しよう。」と呼びかけておられました。
その思いを、私もしっかり受け止めよう、と思います。

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