一般質問 2010年9月議会
事業の評価
国の事業の中には、国が出したお金が、県を通って、団体や市町村、地域に渡るものが多くあります。 県独自の視点を「事業仕分け」に生かすことで、仕分け結果を押しつけられたり、ただ文句を言うだけではなく、より現場の声を生かした仕分けにできるのではないでしょうか。 また、県自身も、行政評価システムによる取り組みを進めるべきです。地方の声を直接届けるという意味からも、仕分け人として、あるいは新たな第三者的な立場として、事業仕分けに都道府県が参加することを働きかけられてはいかがでしょうか。
知事:
都道府県が参加するためには仕分け人等に関するルールの変更が必要であり、このルールを変えるよう国に働きかけることまでは考えていませんが、国と地方のあり方に関わる重要な課題や県民生活の向上に不可欠な政策については、様々な機会を捉えてしっかりと国に伝えてまいります。
県の行政評価システムの構築が遅れている理由や進捗状況をお伺いします。また、遅れることで、行政評価を行わない年度が発生しないよう、来年度の試行(事務事業レベル)は、全事業を対象としてはどうでしょうか。
総合政策局長:
現行の夢づくりプランの中期行動計画の終期等を踏まえ、スケジュールを見直しました。今後は、評価システムの骨格を固め、実際に評価を行う各部局の意見等を踏まえて、年度内には素案を取りまとめます。また、試行については、夢づくりプランに盛り込まれている事業の中からサンプリングして実施します。
盲ろうの方たちへの支援
皆さん、「盲ろう」についてご存じですか?ヘレン・ケラーのように視覚と聴覚の両方に重複した障害です。あまり知られておらず、十分な支援が行われているとは言えません。また、見え方や聴こえ方の度合いや、いつ頃、どういう理由で発症したか、などが人によって異なるため、きめ細かい支援が必要なのです。岡山県では、現在、通訳ガイドヘルパーの養成・派遣事業などを実施していますが、予算が十分ではないし、生活訓練にはまだ取り組んでいません。盲ろう者が暮らし、他の人とコミュニケーションし、社会に参加していくために、県の支援をもっと充実させるべきではないでしょうか。
知事:
今後は、盲ろうの方々の意見をていねいに伺いながら、障害特性に応じた施策の充実と、県としてできる限りの支援を行っていきたいと考えています。
「盲ろう」について、日本では法的な定義も規定もありません。障害者手帳でも、視覚障害と聴覚障害が別々に書かれており、「盲ろう」という障害種別はありません。単に重複障害として扱うのではなく、「盲ろう」の障害特性を認めて、一つの障害種別とするべきではないでしょうか。
保健福祉部長:
国の障害者制度改革の基本的な方向の中では、障害の定義の見直しとともに、障害の特性に配慮した方法による情報提供についても検討することとされているので、その動向を見守っていきます。
行政のサービスや「友の会」の活動も知らず、一人で、あるいは家族の中だけで暮らしている盲ろうの方が非常に多いと推測されますが、一人でも多くの方に、外の人と話をしたり、外出したり、社会参加を進めたりしていただきたいと思います。県として、情報提供や普及啓発にはどのように取り組んでおられるのでしょうか。
保健福祉部長:
障害のある方が地域で安心して暮らしていくためには、利用可能な福祉サービス等を知っていただくことが重要なので、県身体障害者福祉連合会や友の会とも連携しつつ、一人でも多くの盲ろう者へ情報提供ができるよう努めてまいります。
薬物依存症対策
薬物乱用が、社会的に大きな問題になっていますが、問題は深刻化し、今や、従来型の啓発や取り締まり、必罰主義では解決できない段階に至っています。再犯・再乱用を防ぐためにも、依存症対策が重要なのです。そのためには、薬物依存症という「病気」について、世の中の理解を深め、社会全体として回復や社会復帰を支援していく必要があります。昨年、岡山県内にも、依存症の当事者たちによる、社会復帰を支援する施設「岡山ダルク」ができました。依存症に対する理解が足りないことや財政的な困難などが課題だそうです。県として、連携や支援をするべきではないでしょうか。
知事:
県精神科医療センターが設立前から支援をしています。地域貢献をしたいというダルクの意向を踏まえ、覚せい剤等薬物乱用防止指導員に対する研修会で講師を依頼するなどの連携も図っています。今後とも必要に応じた支援等を行っていきます。
薬物依存症者の多くは、薬物を断つことができても、就労が難しいのが現状です。教育支援や職業訓練を含めた就労支援について、県として取り組むべきではないでしょうか。
保健福祉部長:
回復後の社会復帰については、職業訓練などの就職支援も含め、関係機関と連携して、依存症者の社会復帰に向けた支援を行っていきたいと考えています。
依存症による体調不良を最初に受け止める内科医や、偽造処方箋や大量購入といった問題に対処する薬局・薬剤師の理解や対応が必要です。こういった専門家との連携についてはいかがでしょうか。
保健福祉部長:
今年度は、薬剤師会等と連携して処方せんの偽造・変造の警告ポスターを作成し、薬局等に提出を予定しています。今後とも、医師および薬剤師等の専門家と連携して大量服薬の防止に向けた取り組みを進めていきます。
教職員の人材確保
最近、学校現場では教職員が足りていません。加えて、行財政改革による採用の抑制や、採用試験の倍率の低下など、よい人材を確保することが難しくなっています。最近、定年を待たずに退職する教職員が増えています。経年的な変化や、女性、特に50代が多いことをどう分析しておられるのか、退職理由の観点からもお聞かせください。
教育長:
ここ数年、定年前退職者や、50代女性の退職者の数は多くなっていますが、50代の教職員に対する定年前退職者の割合は、ほとんど変わっていません。退職理由については、体力・気力の限界や、介護等の家庭の事情などと聞いており、こうしたことからも、50代、特に女性の退職者が多いものと考えています。
昨年から、教員採用試験において、退職して5年以内の教職経験者を対象とした特別選考が始まりました。よい制度だと思いますが、再任用の希望者が少ない、休職の際の代員がすぐに見つからないなど、よい人材を確保することが難しくなっている現状を踏まえると、さらに門戸を広げてはどうでしょうか。
教育長:
教員採用試験における公平性、公正性を確保しつつ、高い指導力を持った経験豊富な教員をより多く採用できるよう、引き続き検討してまいります。
現在、国家公務員の定年延長について検討が進められていますが、地方公務員の定年は国を基準として条例で定めることになっているので、本県においても喫緊の課題と言えます。単に定年延長だけの問題ととらえず、教職員の働き方や学校内の職種のあり方などを含めた検討が望まれます。教職員の定年延長についてのお考えをお聞かせください。
教育長:
学級担任や生徒指導など、体力的な課題もあり、教職員の特殊性も考慮した制度が望ましいと考えています。